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貯蔵場所がない――
収穫物の腐敗をくい止めようと努力するアフガニスタン農家
ムスタファ・バシャラト
2004年3月4日 アフガニスタン、カブール(環境ニュース・サービス[ENS] )
昨年の豊作にもかかわらず、食料貯蔵庫と食品加工施設の不足のために、逆境に苦しむアフガニスタン農家はさらに
危機的状況へと追い込まれた。
収穫した作物の貯蔵場所がどこにもないので、大多数の農家は、たとえ赤字でも収穫物を売るしかすべがなく、場合によっては、腐っていく作物を家畜の餌にすることもある。
こうした状況は、この国の今後の食糧自給を脅かすものである。現在すでに、復興途上にあったアフガニスタンの農村地域は、貧窮と欠乏の中に置かれて、政府や外国の援助計画による救済を求めるしかない状態となっている。
農業はアフガニスタン経済の最大部門である。米国政府の統計によれば、約2,500万人の人口の約80パーセントが、作物栽培あるいは家畜飼育による農業で生計をたてている。しかしながら、農作に適した土地は、国土の約12パーセントにすぎず、残りは山地か砂漠である。
現在の危機は、多年にわたる紛争期間中に、食料貯蔵施設、温室、穀物貯蔵サイロなどが破壊されたことによってもたらされたものである。国内にある10基の穀物貯蔵サイロのうち使用できるのはたった1基だけで、そのサイロは軍隊と大学生にパンを供給するために用いられている。
カブール地方の農家モハマド・ワヒドさんは、「タマネギやジャガイモを貯蔵する場所がないから、安く売るしかないのです。貯蔵庫があれば、食料供給が少なくなる冬の期間中なら、農作物は高い値段で売れるのに。」と語った。
「昨年、私は販売目的で約7トンのタマネギを家に保管していましたが、残念なことに全て腐ってしまい、(その臭いのせいで)付近の皆さんにずいぶん迷惑をかけてしまいました。」とワヒドさんは語った。
自分の家族で食べる果物や野菜を作るどころか、今やワヒドさんはカブール居住の消費者と同様、市場で食物を買うことを余儀なくされている。
カブールのすぐ西の村で300本の木が育つ果樹園を経営するアブドゥル・ハキムさんは、次のように語っている。「果物は隣国のパキスタンに売る以外に方法がありません。そうしないと、リンゴなどは腐るまで放っておかれることになります。これは貯蔵する場所がないからで、こうしたことが頻繁に起こっているのです。皮肉にも、今アフガニスタンでは、果物不足に見舞われているのです。」
都市から離れた地方では、問題はさらに深刻である。市場へ作物を運ぶために、農家の人々は、苦労しながら長く困難な道のりを超えて行かなければならないからである。
「昨年、傷 一つない新鮮なぶどうをカブールの市場まで運んだのです」とは、パルワーン州 カランダール ・ケール地域の農家グール・ラーマン
さんの話である。カランダール・ケールからパルワーン州の州都チャーリーカール まで2時間かかり、さらにそこからカブールまで約50キロの距離がある。彼は語った。「でも、カブールに辿り着くころにはそれらのぶどうは腐ってしまい、結局輸送の費用にもならない安い値段で売りさばくしかなかったのです。」
また、カブール州カリズミール地区のリンゴ栽培農家ジア・ウッラーさんは、「豊作なのに、たいした収入を得ることはできませんでした。果物を市場へ運ぶことができず、適当な貯蔵設備もないので、家畜の餌にするしかなかったのです。」と窮状を訴えた。
国連食糧農業機関(FAO)アフガニスタン事務所長のラバニ・ハクパルは、険しい山道を通過しなければならないので、適切な輸送手段を欠く農家が作物を市場に運ぶのは非常に困難であることを認めた。彼はまた、多年にわたる武力衝突以前のカブールには、2千トンの果物を冷蔵保管できる設備があったことにも言及して、「しかし、それらの大部分が破壊され、それ以来まったく再建されていない。」と述べた。
また、食糧省副大臣で技術者のシール・モハマド・ジャミザーダによれば、「カブールのバダム・バーグ区域にあった大きな温室は、長期間に及ぶ紛争以前は冬野菜の主な供給源であったが、ひどい損傷を受けたまま未だに修復されていない。」という。
また一方で、穀物の貯蔵場所がどこにもない小麦農家は、製粉所で挽いて粉にされるのを待ちつつ、仕方なく家に小麦を置いている、と伝えられている。
農業省の企画長官モハマド・タウースは、「2003年の北部アフガニスタンにおける小麦と米の収穫は驚くほどの豊作であった。しかしその結果、穀物価格が40〜50パーセント下落し、農家に苦痛の種を増やしただけだった。」と語った。
貯蔵庫問題は、アフガニスタンの今後の収穫にも悪影響を及ぼしている。農家は通常収穫の一部を来年の作付け用の種として取っておく。しかし、貯蔵庫がないため、今農家は、収穫した作物をすぐに売ってしまうか、腐るのをじっと見ているしかないという状況にある。そのため、来年の作付けのために種を購入しなければならない事態となっている。
カブールの西、カラ・エ・シェイカーン村の農家タージ・モハマドさんは、「農家は、作付け用の種代の半額にしかならない価格で、年の始めにジャガイモやニンジンを売ってしまうことがたびたびあります。」と言い、「国の農家が現在の危機から脱出できるように、政府は今すぐ実行に移らなければならないのです。」と、十分な貯蔵施設の建造を怠る政府を非難した。
農業省企画長官タウースは、種の貯蔵、化学肥料、加工設備の面で、政府は農家をもっと援助しなければならないことを認めた。
国内100箇所に及ぶ農業市場を復興させるため、農業省は現在、米国の資金援助による「アフガニスタン農産物市場再建プログラム」と連携した活動に取り組んでいる。
アフガニスタン北部の都市マザーレ・シャリフでは、新しい民営の製粉所が操業を開始し、従来とは別の販路を小麦農家に供給している。その工場には年間約2万トンの小麦を加工処理する能力があり、経営者の話では、小麦は地元の農家から買うことが予定されている。
ところで、地元の非政府組織である福祉開発協会(WDO)が、ドイツ開発公社(GTZ)の援助を得ながら、果物を保存食品やジュースにする方法を農家に教えている。福祉開発協会会長アブドォル・ジャリル・セディキは、この企画により、外国からジュースを輸入する必要性は減るはずだ、と語った。
「自分の手で果物を保存できるようにしてくれるので、私達は福祉開発協会の働きに満足しています。」と、40年間ずっと農業をし、現在この企画に女性訓練生として参加しているカミラさんは言った。
カミラさんが住むのは、カブールの西、カラ・エ・ムスリム村である。彼女と5人の家族は、果物や野菜の貯蔵庫がないことで何年間も苦渋を強いられてきた。今彼女は、家族と共に缶詰やジュースを取り扱う事業を始めたいと考えている。
{戦争と平和報道協会と協力して公表}
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