再生可能な農業とは?
ロデール研究所とは?
ニューファームとは

英語版トップページ

ホーム アメリカ ジェイソンの世界冒険 インターナショナル 掲載記事一覧

ジェイソンの世界オーガニック冒険の旅: インドへ
毎回一つの農場を体験し、そこでの生活を学ぶ

緑の革命をはるかに超えて再生へ
マルカン・ヘリアは、家族のあとを継いで伝統医学の世界に入っていくことはしなかったかもしれませんが、彼の優しい手当てと、農薬、化学肥料を使わない治療法で、からからに渇き切った大地をまったく元の健康な状態に戻してきました。それで彼は、彼の住む西インドの農家仲間から「先生」と呼ばれるようになったのです。

ジェイソン・ウィトマー

農場紹介
クッチ・サンジヴァニ (「生命を救う」の意) 農場

場所: ビディダ村に近く、インドの西海岸に位置するクッチ地方

農法: オーガニック

面積: 82.6ヘクタール

栽培作物: サポジラ(チクー)、キビ、ニンジン、タマリンド、レモンの木、ニーム、マンゴー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

代替燃料資源:
この時計と計算機は、オーガニック牛の尿で動いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

編集者より
ジェイソン・ウィトマーは
2003年1月8日にアメリカを発ち、6ヶ月の冒険の旅でアジアとヨーロッパを横断し、さまざまな農場を訪れています。


ジェイソンの世界冒険はどのような経緯で始まったのでしょうか?

ジェイソンの世界オーガニック冒険の旅

イントロダクション
: オハイオの旅人、“世界草の根”ネットワークの農業通信員としてデビュー

始まり: 祖父の農場を手伝っていた彼が、オーガニック農業を訪ねて2つの大陸を横断する旅へ

タイ東部: ジョン・ジャンダイ――農業を営み、建築家であり、余暇を楽しむ人―に出会う

ラオス: 過去の化学肥料による農業が、この農家にオーガニックにこそ未来があると確信させるにいたった経緯

インド: 厳しい条件の土地にオーガニックのオアシスを作っているインドの農家

 

 

砂漠の幻想: アラビア海 (上の写真)は人々に”十二分に満たされた大地”という幻想を抱かせるが、 実際は塩分により地下水さえも多くの植物に害を及ぼすものになってしまっている。 (右の写真)

2003年5月12日: クッチ地方と同じ砂漠地帯にある、ヌー・テク・ファームから2、3の村を過ぎたところに、地元では「ヘリア先生」として有名な、陽気で風変わりな老人が暮らしています。彼は農業をしていて、また漢方医でもあります。マルカン・ヘリアは、医学学校に行ったことは一度もありませんが、医者の息子として生まれ、この地方でオーガニック農業に切り換えた最初の人間となりました。以来、彼は地元における再生農業の指導者、良き師となり、現在は「クッチ・ サンジヴァニ (生命を救うの意) 農場」のオーナーでもあります。

ヘリアは、医者になった2人の兄弟のように医学の道に進むよりは、自分はビディダ村の近くにある1.6ヘクタールの家族農園を守りたいと思っていました。そして後に彼の息子も医者になったわけですが、今は3人ともオハイオ州に住んでいます。「アメリカに渡ってお金を儲けるチャンスはあったけれど、私にとってお金はどうしても必要なものではないんだ。」と彼は言いました。「私の主たる目的は、自分の食べる物は自分で作るということなんだ。アメリカではどこを探してもそれは無理な話だよ。オーガニックのものを口にすることなどできないだろうね。私には健康こそが財産であり、ここにはその健康があるんだよ。」”

「アメリカに渡ってお金を儲けるチャンスはあったけれど、私にとってお金はどうしても必要なものではないんだ。私の主たる目的は、自分の食べる物は自分で作るということなんだ。アメリカではどこを探してもそれは無理な話だよ。オ−ガニックのものを口にすることなどできないだろうね。私には健康こそが財産であり、ここにはその健康があるんだよ。」

自分が生まれた家に今も住んでいるヘリアは、さらに20ヘクタールの土地を買い足し、彼の兄弟が買った60ヘクタールの土地も管理し始めました。サポジラ(チクー)、キビ、ニンジン、タマリンド、レモンの木、ニーム、マンゴーといった作物を育て、牛を3頭飼うことにより、ヘリアは自分が耕す農場で家計の80%をまかなうことができていて、また余剰作物からも収入を得ているそうです。

何年もの間、ヘリアは西洋式農業を導入して化学肥料を使うことで生産量を増やしてきました。しかし、しばらくするとその地域に住む友人シャーや他の多くの農家の人たちと同じような問題を抱えるようになってきました――彼が使っていた化学肥料は、植物を成長させはするけれども、土を硬くし、乾燥させ、そして浸食してしまったのです。「5年も化学肥料を使えば土はひどく傷つけられてしまうんです。」と彼は言いました。

かれ果ててしまった土の他に、ヘリアはこの地域の失われつつある水の問題についても心配していました。

水問題の改善

化学肥料や多収穫品種は、効力を発揮するのに大量の水を必要とするので、1960年代の緑の革命でそれらが導入されると、インドにおける、とりわけ砂漠のクッチ地方における灌漑が劇的に増加しました。1996年に行われた100の村に対する調査によると、クッチ地方の灌漑井戸の64%、飲料用井戸の45%がすでに涸れてしまっていたことがわかりました。このため新しい、さらに深い井戸を掘ることになりました――1960年には18,000だったその地域の井戸が、1993年までには32,000にまで増えていたのです。

栽培樹木の変更: マンゴーの木を眺めるヘリア。1992年、彼の農場の様子はすっかり変わった。彼は気候に合った作物を植えることにしたのだ。マンゴー、カシュ―の木は同じウルシ科の作物で、高温の気候を好み、水をほとんど必要としないからだ。

加えて、海に近いことで地中深いところの地下水は塩分含有量が高く、灌漑用としては多くの植物に適しません。ヘリアは灌漑を自ら利用することが問題の一因となっていることに気付き、いい気持ちがしませんでした。「何も考えずにどんどん水を使うような水泥棒にはなりたくないですから。」と彼は言いました。

それに替わるものはないかと、ヘリアは1992年オーガニック農業セミナーに参加し、そこでその全体的な癒しによるアプローチに惹かれたのです。「化学肥料を使った農業ではまったく儲からなかったよ。」と彼は言いました。「セミナーで言われることはもっともなことだった。」 ヘリアはすぐに近代的な化学肥料を使った農業を捨て、思い切って灌漑の使用を縮小し、新しい農法を試みはじめました。

彼は環境に合った作物を作ることの重要性を早いうちから認識していました。「大事なことは水をあまり必要としない作物を育てなければならないということです。」と彼は言いました。「ココナッツにはたくさんの水が必要だから、ここには植えていません。」 彼は、あちこちの土地にマンゴーの木を植え始めました。マンゴーは最初の2、3年に水が必要なだけです。最近では、彼はカシューの木も試しに植え始めました。この木もほとんど水なしで育ちます。

水を失うこととの闘いに加えて、ヘリアはかれ果てた土を回復させなければなりませんでした。彼は土にバクテリアを加えることに専念しました。バクテリアは土に多孔質にすることにより土壌中に空気を供給し、有機物を分解してくれます。彼は作物を作付けしている圃場に堆肥を供給し、土の中の炭素を少なくとも2%に保とうと骨を折りました。「土の中に2%の炭素を保てば灌漑用水は半分ですむんです。」と彼は言いました。炭素でバクテリアが育ち、そのおかげで土は多孔質となるからです。このようにして、土が固まるのを防ぎ、空気中の窒素を作物の根に供給することができるのです。

土そのものに注目することで、土が回復する助けにはなりましたが、土が最高の健康状態を維持するには、今までの彼の農法すべてを総点検しなおすことが必要でした。ヘリアはそこに生息する生物と有機物を保全し水分を保つために、雑草を抜くのではなく、むしろ雑草を保護しました。彼はまた作物の西側に木を植え、木陰を作って気温の低い環境を作り出しました。窒素の量を一定に保ち、生物、有機物の量を増やし、土の温度を低く保つために、マンゴーとカシューの木の間には背の低い株立ちの豆類を植えました。マンゴーの木と木の間の空いた土地は、ほとんど一年中休耕させておき、雨季がやってきたらそこに野菜を植えました。

へリア先生の誕生

数年後、ヘリアの農場は再び息を吹き返し始め、彼は再生農業がこの地域の農業には不可欠であることを確信するようになりました。「土壌浸食の問題は解決したよ。」と彼は言いました。「表土が海に流れ込むことはもうない。水はよその農地から流れ出して私の農地に流れてくるんだ。」

「化学肥料を使わなければ生産量は少なくなると、みんなは口をそろえて言うけれど、そうじゃない。毎年、生産量は増えていて、投入資金は減っているから大きな利益が上がっているよ。」"
全体を見通したアプローチは、害虫にも効果を発揮しました。「作物は強ければ害虫など寄せ付けないんだよ。」と彼は言いました。「作物自体が健康であれば病気にはかからない。作物はバロメータなんだ――もしも私の育てる作物の調子が悪ければ、土に問題があるということだよ。」

ヘリアは以前のようにまた自分の土地で生計を立てるようになっていました。マンゴーは彼の主要作物になっていて、5年後には25kgを生産し、その数年後には灌漑や化学肥料を一切使わずに500〜600kgを生産しました。また牛にオーガニックの飼料を与えると、牛乳に含まれる脂肪の割合が高くなり、そのお陰でバターを作りました。「化学肥料を使わなければ生産量は少なくなるとみんなは口をそろえて言うけれど、そうじゃない。」と彼は言いました。「毎年、生産量は増えていて投入資金は減っているから、大きな利益が上がっているよ。」

加えて、 化学肥料を削減することで、ヘリアの最も重要な漢方治療のひとつが実現しました――すなわちオーガニック牛の尿を蒸留したものの使用です。ヘリアはこの秘密を父親から学びました。彼の父親というのは、化学薬品がまったくなかった頃に主に漢方治療を行っていました。今ではオーガニック牛の尿は地元の病院で使われていて、ニキビや結核を含む多くの病気に対する効果的な治療法となってきています。ヘリアは現在、この治療法を咽頭がんの患者に試しており、エイズ治療にも効くようになればいいと願っています。彼は毎朝バケツで3〜4リットルの尿を集めます。集めた尿は1リットル100ルピー (2ドル) で売れます。

先生が地元の農家に伝える再生農業

生きた土から学ぶ: デレクに生きている土を見せるヘリア。何年にもわたる彼の努力で、かれ果てた大地に栄養分、微生物が戻ってきました。
ヘリアは自分の農場で成果を得ると、時間の許す限り地域の農家に再生農業から受ける恩恵について教えはじめました。彼は多くの農家が農法転換する手伝いをしてきました。彼の友人ビジャイ・シャーもその一人です。「ビジャイは私から学んだんだよ。」とヘリアはにっこり笑いながら言いました。「彼は私の最初のクライアント(患者)だったんだ。」

ヘリアによると、クッチのざっと50〜60軒の農家が現在、化学肥料の使用をやめたそうですが、それはこの地域で灌漑をしている農場の1%にも満たないということです。「この地域の農家の人たちを納得させようとしているんだが、難しいですね。」と彼は言った。「彼らは化学肥料を使った農業で赤字を抱え込んでいます。 土が堅くなってしまっているんです。だから彼らは本物の農業とは何なのか 学び始めています。今では、彼らは私たちの農業の方が本物であると理解し始めました。化学肥料を使う農業は本物ではありませんからね。」

ヘリアは地元のNGO団体「バクワン・マハビル家畜支援センター 」のために、120ヘクタールあるオーガニックの田畑をボランティアで管理し始めました。クッチはインドで牛の数が人間の数より本当に多いインド唯一の地域で、他の地域と同様ここでも牛は女神として崇められ大切に扱わなければなりません。このNGO団体は、農家のために病気の牛やその他の家畜を最高で2年間預かってくれ、健康に戻るまで治療し、それから安い値段で農家に返してくれるのです。ヘリアは牛の牧場を管理していて、牛に日陰をつくってやるため砂漠の植物の枝や葉が横に繁るように剪定をするというようなやり方を紹介してきました。

ヘリアと同様、このNGO団体はオーガニック牛の尿にある治病特性を非常に勧めていて、小さな店で売っています。店の正面には牛の尿の入ったバケツに亜鉛と銅の針金が入っていて、それは計算機と時計につながれ2つともちゃんと動いています。どういうからくりかと説明を乞われると、店員は勢いづいて言いました。「牛は太陽の子供なんだよ!角はアンテナとして働くんだ!」  この仕掛けは4ヶ月に一度尿を交換すればいいだけだそうです。

ヘリアには治療をするという生まれつきもっている性癖があったので、彼は再生農業をするべく運命づけられていたような気がします。それにオーガニックという農法は彼と彼の農場に新しい命を吹き込むことになったようです。「今はこの農法に満足しています。」と彼は言いました。「生産物は素晴らしいし、しかも投入資金は少なくてすむ。そして私や家族の健康状態もとてもいいんですよ。」

オーガニック農法はクッチで、インドで、そして地球上で欠くことのできないものであるとヘリアは固く信じています。「農家はみんな住居を転々としているんだよ。」と彼は言った。「でも私は違う。1ルピー使えば100ルピーになって返ってくるし、それに周りの人たちも豊かになるんだよ。環境的にも、経済的にも、そして健康面でも、オーガニック農業は世界を救うことができるんです。オーガニック農業しかないんですよ。それがたった一つの方法なんです。」

ある意味、代替農業の医者として、ヘリアは楽しげに農業に勤しんでいて、自然な全体を見通した農法で地域に新しい活力を与え続けています。

次回
次はジェイソンとデレクがネパールとその他いくつかの国々からレポ−トします。アジアで過ごした最後の週、ヒマラヤ連峰で祖先からの生活が息づいている人たちを万華鏡を覗き込んだかのように紹介します。それでは、ヒマラヤへ行ってみましょう。

 
 


ようこそニューファームへ
ニューファームとは
再生可能な農業とは
ロデール研究所とは
・背景と歴史そして現在
・活動内容
・研究所の所在地
・代表挨拶
・所長挨拶
・SNN秀明自然農法
トップページの記事
・よう こそ
・農業インターン募集
・オーガニック試験圃場
・「提携」の地を訪ねて
・秀明自然農法-序論
・黄島:室田禮治さん
・福岡:樽海靖夫さん
・姫路:中安伸明さん
・千葉:吉野修さん
・群馬:黒岩トキさん
・高橋さんと盛岡CSA
・SNA:スライドショー
・救援する消費者
・北海道長沼農家
・地球温暖化防止策
・キャベツ類を守る
トップページNEWS
・欧州GMOで政府に圧力
・旬の野菜は栄養豊富
・ミミズの排泄物は有益
・持続農業の効果
・日本、クローン牛報告
・WHO、精製糖提言撤回
・日本、有機不正表示
・ガラ紡愛好会
アメリカの記事
・アイオワのトム
・アイオワのトンプソン
・フラワービジネス(1)
・フラワービジネス(2)
・基本と実際そして夢(1)
・基本と実際そして夢(2)
・すばらしい手製ハウス
・ペニーパック農場
・マリキータ農場より
・家族を牧場へ
・農業経済講演録
・人はなぜ農業をするの
・マーテンズの転換記
・古き桃たちへの想い
・パラダイスを求めて
・南ニュージャージー
・オハイオのジャネット
・2年前の特報発掘!
・持続可能な放牧場
・カリフォルニア会議
・果樹園を訪ねて
・最後の言葉
・フィールドハウス
・別の圃場のあり方へ
持続可能性研究所より
・メキシコ湾酸欠海域
・どん底への競争
・化学物質の負荷
FST:農耕法比較試験場
・地球温暖化防止策
インターナショナルの記事
・ロシアでオーガニックを
・アルゼンチンより
・オンタリオより
・セネガルより
・キューバ農業視察記
ジェイソンの世界冒険
・イントロダクション
・はじまり
・タイへ
・ラオスへ
・再びタイへ
・インドへ

・さらにインドへ
・ヒマラヤへ
・ヒマラヤ スライドショー
・スペインへ
・冒険を振り返って
インターナショナルNEWS
・有毒性カビトウモロコシ
・CEOの法外な報酬
・ノルウェーチーズブーム
・デンマーク鶏肉事情
・韓国でキンパが躍進
・EU、GMO貿易規制強化
・ブラジルGMO表示
・エチオピアの飢餓に支援
・米国、エジプトに報復
・中国GM食品にNO
・アフガン小麦増産に
・アイルランドの大学で
・ベネズエラ、土地改革
・欧州委員会は拒否
・バチカンがGM支持!
・スペイン、GMに抗議
・イタリア、オーガニック
・アフガン、収穫物が腐敗
・英国、GMフリー牛乳
・誘引作物
・不耕起が炭素捕獲
ニューファーム協力団体
アーカイブ

英語版では農家の方々にウェブ上でアンケートするコーナーがあります。
このコーナーではアンケート結果を日々確認することができます。

アンケートは英語版
のみです。

常に最新の情報を入手したい方はニュースレター(英語版)に登録をどうぞ

英語版ニューファームは毎日更新しています。英語版ニューファームの最新の記事、コラム、ニュースを見逃さずに読みたい方は、月刊ニュースレターのe-mail配信の登録をどうぞ。

英語版ニュースレター登録はここをクリック!

アクションアラート
英語版のみ)

• 遺伝子組み換え(GM)汚染から種子を守ろう

• GM汚染に対抗しているサスカチュワンの農家を支援しよう

• 養豚の大規模経営による環境汚染に抗議しよう

お便りをください

あなたは農家? それとも消費者? お便りをください。そしてあなたの考えを皆と共有しましょう。

このコーナーは英語版.のみです。

T H E    N E W    F A R M – R E G E N E R A T I V E    A G R I C U L T U R E    W O R L D W I D E