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連載その1 オーガニックシリーズ
基本と実際、そして夢: 農業初心者のための案内

お金も必要です。これからもずっとそうでしょう。でも、農業を始めたばかりの人にとってお金よりも大事なこと、もっとはるかに必要なことがあるのです・・・

正しい情報を見つけること

何を為すべきかを知り、誰を信じるべきかを知ること。それが成功と失敗を分けるのです。

メラニー/ドン/ジョージ・デボールト

編集者記

ところで、デボールト家の人たちとは、どういう人たちなのでしょうか? まずジョージですが、彼は長年にわたって、雑誌「ニューファーム」の編集者を務めました。現在は雑誌「ニューファーム」ロシア語版の編集者を担当しています。メラニーについてですが、彼女の初めてのコラム「フラワービジネスを立ち上げるには」をご覧ください。

デボールト一家が歩んできた農業の経緯については、「ニューファームの夢は本当に実現します」 をご覧下さい。(でもまだ英語版です。日本語版は準備中です。)

最後に、この記事の中でデボールト家の人たちが述べている、ジョエル・サルトンの最新の著書「あなたも農業ができる」を注文したい場合は、30ドルの小切手あるいは郵便為替を、送料は別に、ポリフェイス牧場(Polyface, Inc., Rt. 1, Box 281, Swoope, VA 24479)のサルトン氏宛に直接送ってください。

 

 

ジョージとメラニーに何か質問はないですか?
彼らに記事として取り上げてもらいたいトピックスはありますか ?

質問その他があれば、是非、ここをクリックしてお便りをください。 英語ですけどね。

 

こんな記事もまもなく掲載する予定です

土地――その購入や地代、あるいは「借り入れ」について
あなたが住んでいるところは、都会? 郊外? それとも田舎? いずれの場合であっても土地について有用な情報をお届けします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜ、農業初心者のためにコラムを連載するか?

その理由は2つあります。

一つは、読者の皆さんからのリクエストが特に多かったからです。

もう一つは、農業初心者にはこういったコラムの連載が必要なことだからです。なぜ、必要なのか、デボールト家の人たちは次のように語っています。

土地、金銭、設備に先んじて、すべての農業初心者が必要とすることは、実際的で有益な知識――農家の人びとからの生きた情報――であり、それは「何がうまく機能し、何がうまく機能しないのか。情報は何のためのものか、またそれをどこで見つければよいのか。信頼できるのは誰か、また信頼できないのは誰なのか。そしてその違いをどうやって見分けるのか。」といったことに関しての知識です。 

2003年1月17日:農業を始めるのに、どうしてことさら身を構えるのでしょうか。こんな簡単なことは他にありません。朝飯前にできてしまうのです。

年月を経ていればどこでもかまいません。何がしかの土地を手に入れ、その土地一面に種を蒔くか、家畜たちを牧草地に放って、後は冷えたビールを片手にくつろいで、ドル札が流れ込んでくるのを眺めていればいいのです。そうでしょう?

そう! まったくその通りです!

昨今では、どんな仕事を始めるにしても、なかなか大変です。農業を始めることは、自分の家を自分で建て、自分に適った大学を選び、教会での大々的な結婚式の計画を立てながら、全く同時に、即席料理のコックとして働き、鉄人トライアスロン競技に参加するようなものです。

冗談はさておき、農業は、始めようと思えばできることなのです。今日からでも農業を始めることができるのです。私たちはそれをなし遂げました。オーガニック農法で、しかも持続可能な方法で首尾よく農業を始め、また現在それに従事している人は大変多いのです。あなたにもできます。自分がこれから置かれようとする状況や、前途に控える多くの落とし穴を回避するすべを、前もって、しっかりと知ってさえいれば。

オーガニック農法と持続可能な農法

「農業企業家にとって、農家の家族経営に参入する機会が拡大することは決してなかった。工業的農業複合体が崩壊し、われわれの文化風土が、苦労を買ってでも汚染されていない食品を求めるようになると、農村地域は、収益の上がる農業の機会が生まれることによって新たに人々を呼び寄せるのである。」とジョエル・サルトンは、彼の最新の著書『あなたも農業ができる』の序文で述べています。

その通り。ジョエルは的を射ています。あなたは実際に農業ができるのです。高校または大学を卒業したばかりの人、中年になって転職を考えている人、これからの人生で社会保障より少しでも安全なものを探し求めている人のいずれであっても。

農業を始めたいと思っている人は、自分が何をしたいのか、おおよそのところはわかっているのですが、具体的にどう取り掛かればいいのかについては、それほどさだかではありません。そういうわけでロデール研究所と『ニューファーム』編集者は、もっぱら農業初心者を対象とした定期的なコラムを掲載することが絶対に必要だと感じたのです。

土地、金銭、設備に先んじて、すべての農業初心者が必要とすることは、実際的で有益な知識――農家の人びとからの生きた情報――であり、それは「何がうまく機能し、何がうまく機能しないのか。情報は何のためのものか、またそれをどこで見つければよいのか。信頼できるのは誰か、また信頼できないのは誰なのか。そしてその違いをどうやって見分けるのか。」といったことに関しての知識です。

ルイス・ブロムフィールドは、1945年に出版された 著書『楽しい谷』 に「今の時代、優れた農業者は、他の職業に従事する人々に比べ、より多くのことについて、より詳しく知っていなければなりません。優れた農業者には、生物学者、獣医、機械工、植物学者、園芸家であること、さらにその他多くの知識を持ち合わせていることが要求されます。そしてまた優れた農業者は、常に新しい知識、新しい考え、新しい理念 を吸収することを惜しまない 、開かれた精神の持ち主でなければなりません。」と書きました。

「このコラムでは、実際に農業を行えるようにするための方法を数多く紹介していきます。ここに取り上げられるのは、ただひたすら従っていればよい手法といったものではありません。そうした手法があるとするのは、現代の農業にまつわる数多くの神話の一つです。ひとつの型が農業全般にあてはまることは今まで一度もなかったし、今後も決してありえないでしょう。農業を行う人も農地も、千差万別なのです。」

一昔前は、農業をやっていくのに必要なものと言えば40ヘクタールの土地とフォード社のトラクター「レッドベリー」だけでした。それに比べると、今日、農業を始めようとする人は、何かロケット科学者のように思えるはずです。

このコラムでは、実際に農業を行えるようにするための方法を数多く紹介していきます。ここに取り上げられるのは、ただひたすら従っていればよい手法といったものではありません。そうした手法があるとするのは、現代の農業にまつわる数多くの神話の一つです。ひとつの型が農業全般にあてはまることは今まで一度もなかったし、今後も決してありえないでしょう。農業を行う人も農地も、千差万別なのです。ある一つの方法が、あなたに活用できるものであるかも知れないし、そうでないかもしれないのです。しかし、それぞれの方法から学ぶことができるでしょうし、また適合するものを活用し、あなたにまさしく適したシステムを作り上げることもできるでしょう。

訳者注
ランドグラント大学とは

1862年、農業大学設立のため各州に公有地を与えることを定めたモリル法が成立し、連邦政府は各州内の連邦所有の土地もしくはその売却益を州政府に与え、これを利用して各州に大学を設立することを命じた。これらはランドグラント(=土地付与)大学と呼ばれて、今日の州立大学の基礎となるものである。農学と工学(機械技術)という二つの「実学」の専門教育を行い、米国において高等教育が広く大衆に普及することを可能とした。特に当時米国の主力産業であった農業への技術支援及び人材養成を目的とし、農業試験場を設立して教育と地域支援との連携を目指した。州立大学の中でもランドグラント大学のキャンパスは非常に広大で、それに続く試験農場の先には地平線が見える場合もあるという。

そうしたことは、ランドグラント大学で教わることではなく、大学の公開講座の掲示に一括報告されることでもなく、農業用品店で袋詰めにして売られることでもありません。

学校でほとんど教えないもう一つのことには、批判的な思考法があります。第二の意見を求めたり、セールスマンや、いわゆる専門家、官僚、政治家などから得た情報を適正に評価し、それに基づいて行動するべきかどうかを判断する方法については学校で教えたりしません。

1984年に、オンタリオ州セントキャサリンズのフランク・キャンベルは、雑誌時代の『ニューファーム』にこう書きました。「現在、ますます明らかになってきていることがある。それは『今日の農業における問題の多くは、農家の人たちが、農業に対して全く不適切な目標や責任を持つ人たちから指導を受けていることによって直接引き起こされたものだ』ということだ。」そして、キャンベルは雑誌の発行人欄に、「あなたの農場はあなた自身の責任で」というスローガンを掲げることを提案しました。

農業に関する確実で最良の情報は、他の農家から入ってくるものなのです。農家の人たちはその情報のもつ実際の力を知っているからです。その情報がもつ力は、あなたを成功させることも破滅させることもできるのです。

「皆さん、すべての答えを私に期待しないでください。」ディック・トンプソンは1984年に、彼のアイオワ農場で、最初のニューファームのフィールドデイ(農場見学会)が行われた時、9つの州から集って来た500人を超える農家の人々に言いました。「あなたの隣、あるいは後ろにいる人たちに話しかけて下さい。恐らく私から得るのと同じかそれ以上のことが学べるでしょう。」

長年にわたって私たちが出会ってきたほとんどの農家と同じように、トンプソンはそのことを真摯に受け止めています。「人々は、いたるところで疑問を持っていました。そして真剣に答えを探し求めていました。そうした人々を戸惑わせたくないあなたには、大きな責任があります。これは冗談でも遊びでも、またショービジネスでもありません。現実世界のことなのです。」

「小さいところから始めましょう。知ってのとおり、あまりに多くの農業初心者が、農業で成功しようと情熱をもって始めたのに、結局これまでの蓄えを使い果たし、つらい思いをして夢が砕かれるだけに終わっているのです。そういうわけで、このコラムでは何よりもまず、以下のような実際に則した基本的な事柄に焦点が当てられているのです。」

残念なことに、農業に携わらない人たちは、いつも直接そうした現実に触れているわけではありません。最近の農業初心者に向けられた情報のすべてを調べてみてください。その情報は混乱に満ちたものです。キーワード「Beginning Farmer (農業初心者)」でインターネット検索をしてみましょう。ヒットするほとんどは、今まで一度も作物を育てたことがないような人たちを対象に、土地、設備、建物、種、その他の圃場に投入する資材に対する何十万、何百万ドルもの大金の借り方に関係したことなのです。

今のところはそうしたことに手を出すのは止めておきましょう。それは16歳になって免許証を取ったばかりの運転初心者が、新車のロールスロイスを保険なしで運転するようなものです。いつかきっと、車は溝にはまりこむことになります。まったく無駄な話です。

冗談だと思いますか? 米国農務省、小規模農業に関する委員会の1998年の報告書『行動のとき』に取り上げられた次の項目について考えてください。

  • 現在の農家数は、1979年の時点と比較して30万戸減っており、また農家の平均収入額は一般消費者の平均支出額より13パーセント少ない。
  • 米国内農家の4分の3(およそ150万戸)は、USDA(米国農務省)から「利潤の乏しい」農家に分類されている。ここで「利潤の乏しい」とは、農家が年間5万ドル未満の総売上高しかなく、農業だけでは農業を続けていくのに十分な収入を得ることができないということを意味し、これらの農家の半数(およそ75万戸)は、農外収入に依存している。専業農家でなければ本当の農家ではないという神話は、もはや過去の話である。
  • 年間総売上高5万ドルから25万ドルの農家(農業を主要な職業と見なしている農家の86パーセント)でさえ、「平均実質利益率 」はマイナスの値を示している。つまり、その販売部門における純利益は23,159ドルにすぎず、農作業や農場管理に投入された農家の労働対価(=未払い賃金)を考慮に入れるなら、実質的な利益率はマイナスということになる。
  • 総売上高25万ドル未満の農家は、農家全体の94パーセント(約190万戸)を占めているが、農家全体の総収益の41パーセントを得ているにすぎない。つまり、200万戸の農家の中で、わずか122,810戸(全体の6パーセント)の大規模農家が農業収益の大半を得ていることになる。

あなたが農業を始めたばかりで農業についてあまり知識がなく、別に「本業」を持っているとするなら、その仕事をやめないよう強く勧めます。小さいところから始めて、少しずつ大きくする過程の中で農業について学んでいくことが、絶対に確実な方法です。

支払いはその都度済ませましょう。農業、取引、マーケティングその他について、手に入る知識は何でも学んでください。家の農業図書館には、あなたが収集してきたCD、DVD、LP、オーディオ・ビデオテープを全部合わせた数より多くの農業書 (できるなら、1700年代から現代に至るまで)を所蔵しておくべきです。

もう一度言っておきます。もし、あなたが、お金の蓄えがあり、熱心に家庭菜園に取り組んでいるので農業についてたくさん知っていると思っていても、まだ「本業」を辞めないでください。

小さいところから始めましょう。まず、慣れ親しんでいる作物を数十から百メートル程度栽培し、そして、その作物の販売を予定している場所についてよく知っておくことです。知ってのとおり、あまりに多くの農業初心者が、農業で成功しようと情熱をもって始めたのに、結局これまでの蓄えを使い果たし、つらい思いをして夢が砕かれるだけに終わっているのです。

そういうわけで、このコラムでは何よりもまず、以下のような実際に則した基本的な事柄に焦点が当てられているのです。 

  • 何を栽培すべきか(初心者がむやみに栽培してはいけないものは何なのか)。
  • 栽培する以前に、販売方法について考えておくこと。
  • 必須の備品は。
  • どこを農地にするか。
  • 土地を手に入れるには。
  • いかにして始めるか――借金して負債をかかえるのではなく、農業支援者たちからいただいたお金を農場の運営資金として有効に活用して。
  • 郊外に住む多くの人々が乗用芝刈り機に費やすお金で、小さな農園を整備するには。
  • シーズンごとに数千ドルの収益をもたらし、かつ、経費が安くあがる簡易パイプハウスを建てるには。
  • 市場の価格をそのまま受け入れるのではなく、自分が価格の設定者になるには。
  • 中間業者を介さずに、作物の売上げをすべて手に入れるには。
  • 協力的で支援を惜しまない消費者を得るには。
  • 現在農家として成功している人たちはどのようにして成功に至ったのか――かつては皆初心者であった農業者たちの軌跡をそれぞれ紹介。

上に掲げた項目がすべてではありません。あなたにとってきわめて重大なことで私たちに見落としがあるなら、お知らせください。その問題を突き止めるために最善を尽くします。

「農地」、「農家」、「農業」という言葉は、場所、人、時が違えば、異なったさまざまな意味をもつということを心に留めておいてください。一つのやり方があらゆるケースに通用するなんてことはないのです。

訳者注
加温設備のない簡易パイプハウスとは
日本で無加温ハウスと呼ばれるものに相当し、米国ではフープハウス(hoophouse)もしくはハイトンネル(high tunnel)と呼ばれている。日本では簡易パイプハウスのことをビニールハウスと呼ぶことが多い。最近はダイオキシン問題などで塩化ビニル製品が排除される傾向があり、ポリハウスに置き換える農家が増えつつある。

米国農務省(USDA)は、「農地」を、一年間に1,000ドル相当の作物生産が可能な土地、と定義していますが、その定義は非常に多くの農地に当てはまります。私たちは加温設備のない簡易パイプハウス{床面積:120平方メートル(4.3メートル×29メートル)}を所有していますが、このハウスでは床面積100平方メートル当たり2,000ドル以上に相当する作物を生産します。

ですから、USDA――連邦政府の定義に基づけば、「農地」はあなたの家の裏庭ぐらいの狭い土地であってもかまわないです。私たちはペンシルベニア州南東部に住んでいますが、この地域では、ありふれたとうもろこし畑や大豆畑から、私たちの小さなフープハウスと同じ収益を上げるのに、少なくとも32ヘクタールの農地が必要なのです。

農業の初心者であるあなたにとって、農業という絵を描こうとしているキャンバスは今は真っ白な状態です。そのキャンバスは、とりわけ正しい情報を使って描くことで、真に天の恵みになりうるのです。

 

 

 
 


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