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アイオワ持続農業の先駆者達

非営利組織「アイオワ実践農家」ネットワークのリーダー達の物語(1)

フランツェン一家は、土壌や豚たちの質の向上と、よりよいライフスタイルを目指して農場経営に取り組んでいます。オーガニックで農業をするというのは複雑で常に新しいことへの挑戦ですが、20年前よりもフランツェン一家はオーガニックをずっと楽しんでいます。

ダルシー・モルスビー

[右の写真] 家業の農家を継いで4代目のトム・フランツェンと息子のジェームズ君。ジェームズ君もオーガニックの世界ではちょっとした有名人です。

 

編集者記

去る8月に、ロデール研究所の研究チームはアイオワの農場を巡り、最も優れた雑草管理の実施方法についての情報収集をしました(私たちは雑草管理に関して新しい研究に着手することを検討しています)。研究チームは、4人の持続可能な農業の先駆者たちの農場を訪れることにしました。4人の名は、トム・フランツェン、ディック・トンプソン、ロン・ロスマン、ヴィック・マドセン――彼らは、農業の問題解決のための調査研究(オンファームリサーチ)に取り組む面々です.

私たちは、アイオワ州グランジャー出身で、フリーのライターであるダーシー・モールズビーに、この4人の経験豊かな農場主に同行して、彼らの実施方法および成功例と関心事についてレポートして欲しいと依頼しました――この4人は全員が「アイオワ実践農家(PFI)」の長年のメンバーです。

(ダーシーはアイオワ州グランジャー出身で、通信やマーケティングに精通したフリーのスペシャリストです。彼女はアイオワ中西部の農場で育ち、8年以上にわたり農業について執筆してきました。ダーシーに連絡を取りたい方はyettergirl@yahoo.comまでどうぞ。)

今回のトム・フランツェンの記事は4部作の第1回目に当たります。ここで、ロデール研究所はPFIと長く実りの多い付き合いがあることを特筆しておきます。私たちの過去の歴史――再生可能な農業の誕生にロデール研究所とPFIが共に歩んできた――についてもっと知りたい方はグレッグ・ボーマンの手記を読んでみてください(ただし、現在は英語版のみ。日本語版は準備中)。

農場紹介



フランツェン農場


場所: 農場はアイオワ州北東部アルタヴィスタ近郊にある。ミネアポリスとセントポールよりおよそ160km南東、デモインより約260km北東に位置する。

農場の中心人物:
トムとアイリーン・フランツェン夫妻。そして、14歳になる息子のジェームズ。

農業歴: トムはフランツェン家の4世代目農家であり、1974年より農業を始めた。

総農場面積: 146ヘクタール

耕地面積: 136ヘクタール

土壌のタイプ: 有機物含有量が高い(3〜5%)埴壌土

作物: トウモロコシ、大豆、大麦、干し草用の牧草、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ=紫馬肥やし)、その他の馬草の類

家畜: 豚、牛

再生可能な農場の運営方法:
徹底して管理された輪作、うね耕作、家畜糞の堆肥化、畜産と作物生産を包括的に管理した農業体系

出荷先:
オーガニック・ヴァレー販売組合、ナイマン・ランチ、ストーンブリッジ・インターナショナル社

トム・フランツェンは、アイオワ州北東部の農場で、オーガニックの穀物栽培と畜産を営んでいます。そこでは、管理、保全、保護をするというのは後から思いついたことではなく――彼が実施している農業体系に包括的に組み込まれているものなのです。

フランツェン家の農場では、土質を改善するために、2種類の輪作を行っています。ひとつは、「トウモロコシ−大豆−大麦−干し草用の牧草−放牧用の牧草」の輪作、もうひとつは「トウモロコシ−大豆−大麦−干し草用の牧草」の輪作です。牛の飼料には、アカツメクサ、種々の牧草類、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ)といったものを使い、豚の飼料としては、穀類を使用します。家畜の排泄物を堆肥化したものは、後で耕作地に施用できます――そうすることで、土壌は肥沃になるのです。

「私たちは動植物本来の営みを農業や畜産にうまく取り入れていますが、その方法はかなり複雑です。農業は20年前よりも今の方がはるかに複雑になっていますが、オーガニックで農業をすることで私たちのライフスタイルは向上しました。それにオーガニック農業は、不安定な農業界にあって安定した将来をきっともたらしてくれると思います。私は自分の仕事を楽しんでいるし、一緒に働いている人たちともとても楽しい時間を過ごしているんですよ。」とフランツェンは話してくれました。

 

土質の重要性

一生を農業に捧げて今を生きるトム・フランツェンは、アルタヴィスタ近郊にある農場で、慣行農業による作物生産を行っていましたが、1995年にオーガニックの生産に切り替えました。

「来る年も来る年も作物を列植していただけの頃は、その畑の土質が気に入りませんでした。私は多様性こそが鍵だと信じていましたし、今もそう信じています。そこで、農場管理にはもっと包括的なアプローチを取り入れるべきだと決断したのです。」と彼は言いました。

農家として4代目を継いだトム・フランツェンは、できる限り最良の方法で農場と家畜を大切にお世話したかったんだと言いました。1937年、彼の父親は3.2ヘクタールの土地を購入し、最初の農地としました。フランツェンは1974年に農業を始めた後、彼と妻のアイリーンは1977年には農場を買い足し、現在では136ヘクタールの耕作地を含め、146ヘクタールの農場を経営しています。

夫妻は大学生になるジェスとジョリーンの2人の娘を農場で育ててきました。十代の息子ジェームズも同じように農場で育ててきました。父親であるトムが農場管理者であるのはもちろんですが、息子も農場の手伝いをしますし、妻のアイリーンは簿記を手伝っています。

1987年からフランツェンは「アイオワ州実践農家」(PFI)のメンバーになっています。PFIは非営利団体であり、この組織は収益をもたらし、環境に配慮し、健全で、農家の家族や地域社会に役立つ農業体系の普及・推進に努めています。

「確かに、私たちのところでは、収穫高は慣行農業の作物よりやや少なめです。私のやり方では他の農家よりも2週間遅れてトウモロコシを種を播きます。そして、トウモロコシの収穫高は、通常1ヘクタールあたり7.0〜7.6トンです。もっとも私たちにとって大切なのは収穫高ではなく、収益なのです。」

「うちではアンガス種の牛を75頭飼っています。牛を飼えば、私の農場で確実に輪作を行なうことができますし、実際、そうなっています。そして、輪作は、土壌をもっと肥沃にしてくれるのです。」と、トムは言います。「牛は私たちにとってとても大切な動物なのです。私は思うのです。健全な土壌の生態系を確保するためには、大きな草食動物が必要なのだと。長期にわたって連作をしていると、土壌の構造がうまく形成されなくなってしまいます。被覆作物、5年周期の輪作、家畜を放牧して干し草用の牧草や馬草を生で食べさせること、そして家畜糞を堆肥化すること――これらを組み合わせて活用することでよい土壌構造が造られていくのです。農場がうまく機能するためには、良質の土壌が不可欠なのです。」

うね耕作を行ったり、適切な栽培をするなど、その他のいろいろな管理方法を実施することもまた土質を改善する一助になっています。

フランツェンは土壌の管理方法の違いによって土壌がどう変わっていくのか、語ってくれました。「長期にわたる連作によって、土がコンクリートのように固くなっているところへ大雨が降った時に土壌浸食が起こるのをこれまで目にしてきました。それに比べて、5年周期で被覆作物と干し草用の牧草を交互に育てているところに、家畜糞を堆肥化したものを入れて耕した圃場に大雨が降った時、どんな違いがあるのか、この目で見て理解してきました。ここの農地には、水分を吸収する、素晴らしい団粒構造のある土壌があるのです。」

 

作物生産システム


このようにフランツェンが土質に注目している点からもわかりますが、彼はアイオワのたいていの慣行農家がしているような、栽培作物をトウモロコシや大豆は限定した単一栽培は行っていません。「私たちオーガニック農業家の見解では、単一作物栽培なんてことは、はなはだ愚かなことだといえます。確かに、私たちのところでは、収穫高は慣行農業の作物よりやや少なめです。私のやり方では他の農家よりも2週間遅れてトウモロコシを種を播きます。そして、トウモロコシの収穫高は、通常1ヘクタールあたり7.0〜7.6トンです。もっとも私たちにとって大切なのは収穫高ではなく、収益なのです。」

フランツェン家の農場では、慣行農業で栽培される通常の大豆の代わりに、クリアハイラム大豆をオーガニック農法で栽培しています。「ストーンブリッジ・インターナショナル社が私のオーガニック大豆を買ってくれます。サンリッチ社も買ってくれました。無キズのきれいな大豆は100キログラムにつき約59ドルで、割れたものは約28ドルになります。割れた大豆は平均で全体の15〜20%です。」とフランツェンは言いました。

しかしながら、周辺の慣行農業の畑からもたらされる病気と害虫の問題は、オーガニック農業の畑でもトラブルの原因になります。

「昨年はダイズアブラムシ に、すっかりやられてしまいました。このあたりの農地の半分は大豆畑なので、どこかの大豆が病気になったり虫にやられたりすると、私たちのところもやられてしまうのです。政府が単一作物栽培 に補助金を出すので、それがこういう問題を引き起こしているのです。ということは私たちが他人の不始末のために代償を払うことになるわけですよ。」とフランツェンは言いました。

土壌をより肥沃にするために、フランツェン家の圃場では、ニューハンプトンの近くにある地元の、卵を割る施設から砕いた卵の殻をもらってきて畑にまいています。卵の殻はカルシウムと少量の窒素を供給してくれます。さらに、農場にあるかまぼこ型のハウス豚舎から出てくる家畜糞と寝わらを堆肥化し、栄養分を加えるために畑に施用しています。

「家畜糞で堆肥を作る方法について初めて聞いた時、それがうまくいくなんて思いませんでした。糞尿が多過ぎ、寝わらは量が足りなくて、大きなドロドロのぬかるみができるだけなんじゃないかと思っていました。ところがこれが実にうまくいって、かまぼこ型ハウスの中にある寝わらの肥やしは申し分のない堆肥の原料になっています。寝わらにはトウモロコシの茎、オート麦のわら、あるいは大麦のわらを使います。春には圃場にこの堆肥をまきます。秋にはあまりまきません。というのは牛を放して牧草を食べさせたいからです。」とフランツェンは家畜糞や寝わらの有効な活用法について説明してくれました。

この豊かな土壌をきちんと維持するために、フランツェン家の農場では、圃場のまわりに防風林や実のなる低木を植えて土壌の浸食を抑えています。

14歳のジェームズ君は、日々、自分と父親が農場で行なっている作業について日記を書いています。ウィスコンシンに本部をおく「オーガニック・ヴァレー」販売組合は、持続可能な農業を人々に啓発する手助けになればと、彼の書く人気の『ジェームズの日記』というニュースレターを、毎週3万人以上の定期購読者にEメールで配信しています。

「『ジェームズの日記』は、”オーガニック農業に必要なのは創造性と自分自身で考えること、そして既存のやり方に従うのではなく、自分のやっていることを信じることだ”ということを読者にわかってもらう手助けになっているんですよ。」と、父親であるトム・フランツェンは息子がやっていることについて説明してくれました。



     

 
 


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