| かつて、スティーヴ・ムーアさんは、毎年春には、900平方メートルの加温設備の整った温室 で22,500キログラムの早生トマトを収穫していました。
「加温設備の整った温室はお金になりました。」とムーアさんは言います。「温室のおかげで自分たち農家にとって、そして私たちの出荷したトマトを売ってくれる卸売業者にとっても、現金収入がいくらか必要となる春まだ早い時期を埋めあわせることができたのです。その卸売業者はワシントンD.C.内外の14の食料品店に供給してくれました。」
しかしムーアさんはまた、化石燃料と経費を食いつぶす化け物を作り出しているような気がしていたとも言いいます。
「4年間トマト生産に携わっていて、気づくと温室を暖めるために10日で680キログラムのプロパンガスを燃やしていたのです。それは7,600リットルの燃料タンクから燃料オイルをくみ上げ、配給業者からオイルを、価格を固定して先物買いしながらのことでした。」
「うわぁ! と言ってしまいました。それは27年間、馬を使って耕し、持続可能なライフスタイルで生活しようと努力してきた私たち家族にとっては奇妙な回り道なのです。」とムーアさんは当時をふり返ります。
「何らかの変革が必要です。エネルギーも節約しなければなりません。仕事も減らし、持続可能でないエネルギーの使用は少なくし、もっと栄養のあるもの、つまり今までやっていた缶詰のものではなく、新鮮な食べ物が必要なのです。私たちは振り出しに戻ってしまいました。」
ムーアさんは大量の燃料を食う大きな温室をやめ、化石燃料を全く燃やさない手作りのシンプルなパイプハウスで実験を始めました。プラスチック製のパイプを買い、古くなった温室の大きなビニールシートを小さく切り、中古のプラスチック製水道パイプをもらってきて、これらを使って太陽エネルギーを利用する単純な構造のパイプハウスを組み立てました。
「パイプハウスをひとつ作る材料費は200ドルです。最初のレタスの収穫で、その200ドルは取り戻せました。」とムーアさんは語ります。
さまざまなタイプのパイプハウスとさまざまな材料を使った実験を段階的に行って、ムーアさんはついに現在の簡易パイプハウスにたどりついたのです。現在は、横幅8.5メートル、奥行き29メートルのこの簡易パイプハウスのおかげで、3月半ばからほぼ12月半ばまで毎週130世帯の家庭に野菜を供給できるようになっています。
「実際、この手製のパイプハウスを見ても一般的な簡易型パイプハウスのように見えるだけです。とまどうくらいシンプルです。」と彼は認めます。「換気はルーバーと、パイプハウスの両端にある手動の大きな二重扉で行っています。病気や他の問題を低減する鍵はパイプハウス内の空気の動きを大きくすることです。健康な土壌で育っていれば病気のことはあまり心配する必要はありません。」
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