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バオバブ(一千年の木)の国、セネガルからの手紙

健康でより肥沃な土づくりがそこで実現できる、という有望な見通しを再確認するために、セネガルを訪れています。

 
編集者より
セネガルでの進行状況について継続的に報告していきます。タイバ・ンジャイ村に、ちょっとした良い話があるのです。ロデール研究所の支援の下に、その村に住む女性達が、動物の侵入防止用に低木で作った垣根と貯水池を利用して、乾季時のための共同菜園を始めました。その菜園により、村人の栄養摂取と生活の質に大きな変化がもたらされました。8ヶ月間続く乾期には、ほとんどの男性が村を出て首都ダカールで仕事をします。菜園ができる以前は、残された女性と子供には、せいぜい雨季の間に栽培した雑穀、ピーナッツ、カウピーがあるくらいでした。一番近い市場でも歩いて30分はかかり、各々の家族には、畑にやる水を汲みに行く有効な手段がなく、また時間も労力もありませんでした。現在では、共同菜園により、子供達は新鮮な野菜を食べることができ、余った農産物は隣の村に売るので、それが村の実質的な収入源になっています。この乾季の活動については、後日詳しく報告します。

あなた自身に旅の経験があるなら、その時の農業観察記録を私たちに紹介してください。
 

 

私の名前は、ディル・ラシュメラです。ロデール研究所の新しい国際プログラムのマネジャーです。今まで、仕事での生活はすべて、アフリカのフランス語圏の国々で過ごし、米国国際開発庁で農業専門家として働いてきました。1973年以来、コートジボワール、ブルキナファソ、ナイジェリア、マダガスカル、そしてモロッコで、私は生活していました。新任地のペンシルバニア州クッツタウンでは、まだ不慣れですが、私にとってはアメリカでの最初の専門職となります。

2002年の6月、私はセネガルを訪れたのですが、それは、13年前に始まって現在も続いているロデールの活動内容を実地に観察する為でした。ダカールに着いて飛行機から降り立った時、「お帰り! 西アフリカへ」とでも言っているかのように、アスファルトの熱風が私に向かって舞い上がりました。次の瞬間、自分は故郷の地に戻っており、親しみが胸にわいてきて、ここは私の知る、私の愛する土地なのだ、と実感しました。

セネガルでのロデールの活動は、田舎で暮らす農家の人たちに、未来は過去よりも明るくなるという希望を与え、じかに彼らの心をつき動かすものです。田舎そのものといった環境にある西アフリカでは、農家の生活の質的向上を直接可能にするテクノロジー、農家の肉体労働を軽減し、かつ簡単に導入できるテクノロジーというものは、彼らの財源を考えに入れた場合、ほとんどありません。しかし、テクノロジーが手に入らない地域では、人間の知恵が奇跡を起こし得ます。私の言っている知恵とは、肥沃な土壌が無いため持続可能な開発に大きな支障をきたしている国で、農家の人たちが土壌の地力を高めることを可能にする知識のことです。

親が子供に贈ることのできる最も価値あるプレゼントとは、親がその親から譲り受けたときよりもさらに豊かになっている土地です。これは口にするのは容易ですが、実行となると大変難しいのです。セネガルでは、ロデールは、農家が行う健康な土づくりのための知識――堆肥の活用や輪作といった簡単な技術を教え始めました。こうした再生農業の技術を利用した成果として、生産性の大幅な増加を目の当たりにする時、とてつもなく大きな誇りと達成感が湧き上がります。

セネガルはバオバブ(セネガルの言葉で「一千年の木」を意味する)の国であり、風景のあちこちに点在してそそり立つ巨大な生命体、それがバオバブの木です。バオバブの木は、土の中から根こそぎ堀出した巨木を、上下逆さにひっくり返し、根を上にしてそのまま土に差し戻したような姿をしています。さて、ちょっと想像してみてください。バオバブの木の幹は直径9メートルもあるのです! なんと驚くべき眺めでしょう。巨大な幹、曲がりくねった枝、毛で覆われた実、これらはすべて、バオバブが乾燥した不利な環境に適応するすべを自ら身につけてきた、ということを示すものです。滑らかな銀色をした幹の下側には枝がなく、そのためバオバブの木に登ることは困難です。それに対して、幹の上端からは、曲りくねった大枝が唐突に伸び出ています。それらの大枝は、まるで漫画に出てくるキャラクターのボサボサ頭のようです。

バオバブが厳しい環境の中で生き残ってきた秘密、そしてその幹が巨大である理由は、幹の内部には木の繊維がほとんどなくて、大量の水を貯えることができるということです。それぞれの木は300リットルまで水を貯蔵でき、長い期間、雨なしで生息し続けることができるのです。寿命の長さは、その巨体に劣らず驚くべきものであり、ほとんどが500年以上生き続けて、アフリカには樹齢5000年と信じられているものもあります。

ロデール研究所は、セネガルの伝統的ピーナッツ栽培地域の中西部に位置するノット(Notto)に、西アフリカで初の再生農業研修センター設立の機会を得ています。周囲一帯の村々が我々のために取っておいてくれた5町の土地に目をやると、視界に入ってくるのは、乾燥して固まった灼熱の大地から突き出た大自然の番人、バオバブの姿です。ただしこの土地の使用は、私達が彼らの隣人となって、そこに時間や労力を投資するようにと招かれる場合に限られるのです。近い将来のいつかある日、大地再生への新たな希望と新たな理解によって力を得た男女が、バオバブの側で微笑んでいる姿を見ることでしょう。

皆さまによろしく
ディル・ラシュメラ

 
 


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